大気汚染防止法の目的と概要
目的
この法律は、工場や事業場での事業活動、建築物の解体などによるばい煙、揮発性有機化合物、粉じんなどの排出を規制し、水銀に関する水俣条約の実施を確保するための水銀等の排出規制、有害大気汚染物質対策の推進、自動車排出ガスの許容限度設定などを行うことで、大気汚染から国民の健康を保護し、生活環境を保全することを目的としています。また、大気汚染による健康被害が発生した場合の事業者の損害賠償責任についても定めています。
規制の概要
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適用対象となる工場・事業場と規制対象物質
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ばい煙発生施設、揮発性有機化合物排出施設、粉じん発生施設、水銀排出施設などが設置された工場・事業場が対象となります。
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規制対象物質は、ばい煙、揮発性有機化合物、粉じん、水銀等、有害大気汚染物質、自動車排出ガスなどです。
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事業者が講ずべき措置
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施設の届出: ばい煙発生施設などを設置・変更する際は、事前に都道府県知事に届け出る必要があります。
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測定と記録: ばい煙量や濃度、揮発性有機化合物濃度、粉じん濃度、水銀濃度などを測定し、記録を3年間保存する必要があります。
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排出基準の遵守: 施設の種類や地域に応じて定められた排出基準を守らなければなりません。排出基準には、ばい煙の一般排出基準、特別排出基準、上乗せ排出基準、総量規制基準、揮発性有機化合物の排出基準、粉じんの排出規制、水銀等の排出規制などがあります。
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解体工事における石綿飛散防止対策: 特定工事に該当するかどうかの調査、発注者への説明、調査結果の報告、都道府県知事への届出、石綿等の除去方法の遵守、作業基準の遵守、作業結果の報告と記録の作成・保存が義務付けられています。
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事業者の一般的責務
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事業活動に伴うばい煙、揮発性有機化合物、有害大気汚染物質、水銀等の大気中への排出状況を把握し、排出抑制のための措置を講じる必要があります。
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この法律は、大気汚染を防止し、国民の健康と生活環境を守るために、事業者に様々な規制と義務を課しています。