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再資源化事業等高度化法「類型①」は日本のリサイクルを広域化・高速化させるのか

2025年11月21日に全面施行される「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」(再資源化事業等高度化法)は、日本の静脈産業(リサイクル産業)を、従来の環境規制の枠組みから解き放ち、「国産の産業原料」を供給する戦略的な産業へと転換させようとしています。


🔷環境省_資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(再資源化事業等高度化法)

🔷説明会資料


その中心にあるのが、国の認定によって大胆な規制緩和が適用される「類型①」です。


広域回収リサイクルのイメージ
広域回収リサイクルのイメージ

本記事では、この類型①が、従来の廃棄物処理法に基づく自治体ごとの許可から環境大臣による「一括認定」へ移行することで、いかに日本のリサイクル事業の広域化と全国規模での展開(スケーラビリティ)を可能にするのか、そのメカニズムを深掘りします。



1. 目的の根本的な転換:「守り」の公衆衛生から「攻め」の産業政策へ


類型①を理解する上で重要なのは、その目的が従来の廃掃法に基づく制度と根本的に異なる点です。


従来の許可制度の目的


廃棄物処理法に基づく従来の処理業許可や施設設置許可の主目的は、あくまで公衆衛生の維持適正処理にありました。また、廃棄物処理法の「広域認定制度」も存在しますが、これは拡大生産者責任(EPR)自社製品の処理責任を広域で果たすための「守り」の特例でした。



類型① の目的:「経済安全保障」としての資源循環


広域認定制度に対し、高度化法の類型①は、「産業政策」および「経済安全保障」を主目的としています。


  • 申請主体: 主に再資源化事業者(廃棄物処分業者など)であり、広域認定のように製造事業者に限定されません。

  • 対象物: (広域認定のように)自社製品に限定されず、認定計画に基づき広域から効率的に集める必要のある廃棄物全般(一般廃棄物・産業廃棄物)が対象となります。


類型①の目標は、再資源化事業者が、高品質な再生材を「産業原料」として製造業(動脈産業)へ安定供給するサプライチェーンを構築することです。



2. 革新の核心:自治体許可から「大臣の一括認定」へ


類型①の最大の革新性は、従来の自治体管轄区内に限定的だった廃掃法の許可が、環境大臣による単一の「一括認定」広域的なリサイクルに取り組むための道筋を確立します。


廃棄物処理法に基づく広域認定制度とこの類型①は、どちらも都道府県・政令市ごとに行政手続きが必要な「業の許可」(収集運搬業、処分業)が不要になるという点で共通しています。これにより、広域で廃棄物を収集・運搬することが可能となります。



決定的な特例:「施設設置許可」の免除


しかし、類型①は広域認定制度が踏み込まなかった、より決定的な特例を提供します。

比較項目

従来の廃棄物処理法許可(自治体個別)

類型① 高度再資源化事業(大臣一括認定)

許可/認定主体

事業所・自治体ごとの個別許可

環境大臣による「一括認定」

事業展開スコープ

自治体管轄区内に限定的

広域的・全国規模

「業」の許可

必要

不要(大臣認定で広域処理可)

「施設設置」許可

必要(自治体ごとに個別取得)

不要(大臣認定の特例対象)

従来の制度では、リサイクル工場(中間処理施設)などの拠点を新設・増設する際、その施設を設置する自治体ごとに「廃棄物処理施設の設置許可」を個別に取得する必要がありました。これは数年がかりの交渉と審査を伴うため、事業の全国展開の足かせとなっていました。


類型①では、この施設設置許可も環境大臣の一括認定によって特例として免除されます。

これにより、認定事業者は初めて、リサイクル拠点の新設・増設も含めて環境大臣の単一認定でカバーできるようになり、迅速かつ大規模な全国展開(スケーラビリティ)が可能となります。



3. 認定に求められる「上乗せ要件」と強力な支援


類型①の認定は、単なる規制緩和と広域化だけでなく、産業供給者としての厳格なコミットメントを求めます。処理基準の遵守に加え、以下の「上乗せ要件」が課されます。


  1. 需要者(動脈産業)の確保: 再生材の大部分が供給される具体的な需要者(動脈事業)が確保されていること。再生材の供給先に見通しが立っており、資源循環していくことが見込まれることが求められます(例:再生材の使用を検討している製造事業者との共同発表、品質検証協議など)。


  2. トレーサビリティの確⽴: 取り扱う廃棄物や再生材について、トレーサビリティが確立されていること。

  3. 定量的指標評価: GHG排出量の削減効果、資源循環効果といった定量的指標の評価を行うこと。

  4. 地域との調和: 新規に施設を設置する場合は、周辺説明会の実施、都市計画との整合、地域商工会や産業資源循環協会等への参加など、地域との調和の確保に向けた取組を行うこと。


また、認定事業者には、従来の制度にはなかった巨額の補助金、税制優遇(固定資産税・法人税)、低利融資といった強力な財務支援が用意されており、国策としての重要性が裏付けられています。(ただし、財務支援が確約されているわけではないこと、ご留意ください。)



4. まとめ:リサイクル産業の「高速道路網」(再資源化事業等高度化法「類型①」)構築へ


再資源化事業等高度化法「類型①」は、日本の静脈産業を、地域ごとの個別許可に縛られた「地方の適正処理事業者」から、「全国規模で産業原料を安定供給するサプライヤー」へと昇格させるための制度です。


廃掃法の個別許可から大臣の一括認定への移行、そして施設設置許可の免除という特例は、事業の予見可能性を劇的に高め、リサイクル事業を広域的かつ効率的に行うインフラ整備を可能にします。


類型①は、まるで地方ごとに細かく分断されていた道路(個別許可)を、国が整備する一本の高速道路網(一括認定)に接続し、産業原料の流通を全国レベルで加速させるような、革新的な制度であると言えるでしょう。


坂本裕尚


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