再生プラスチック利用が“実質義務”に? — 資源有効利用促進法改正案、2026年施行に向け動き加速 -
- 坂本裕尚
- 7月13日
- 読了時間: 4分
「努力義務」にとどまっていた資源有効利用促進法が、いま大きく舵を切ろうとしています。(資源有効利用促進法改正案)
2026年4月の全面施行に向けて、法の性格そのものが“促進”から “実質的な義務化” へと進化しつつあります。

2024年6月26日、経済産業省の産業構造審議会・資源循環経済小委員会が開かれ、改正資促法の制度設計に関する審議がスタートしました。
■経済産業省
注目されるのは、カーボンニュートラルを視野に入れた再生資源の利用拡大と、回収・再資源化の実質的な義務化の方向性です。
脱炭素化のカギを握る「再生プラスチック」
審議では、脱炭素化に資する 「脱炭素化再生資源」 として、
再生プラスチック
ベースメタル(鉄・アルミなど)
レアメタル(リチウム・コバルトなど)
が候補に挙がりましたが、まずは 再生プラスチックの指定 が提案されています。
この再生資源を使用すべきとされる 「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」 には、次の製品群が検討対象となっています。
容器包装(※ペットボトル以外の食品・医薬品容器は除外)
家電4品目(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)
自動車
今後は、製品ごとに「プラスチック使用量に対する再生プラスチックの使用割合」など、明確な数値基準を設定していく予定です。これは、単なる努力義務を超えて、企業の実務として達成が求められる実質的な義務となっていくことを意味します。
小型リチウム蓄電池の回収も義務化へ(資源有効利用促進法改正案)
現在、資促法上の「指定再資源化製品」はパソコンと密閉型蓄電池(例:リチウム蓄電池)の2品目ですが、小型リチウム蓄電池に関する深刻な課題も議論されました。
回収スキームが未整備
モニタリング体制が存在しない
発火事故が多発(とくに廃棄時)
このような背景から、新たな再資源化製品の指定が急務とされ、以下の製品が追加候補として提示されました。
電源装置
携帯電話用装置
加熱式たばこデバイス
これらはリチウム電池を内蔵しているため、火災リスクの低減と資源回収の観点から、製造・販売事業者に回収・再資源化の義務が課される方向です。
リユース・シェアリングも制度対象に - CEコマースの進展 -
循環経済の視点から、 リユース・シェアリング( = CEコマース) に関する新制度も動き始めています。
B to C(個人向け): 家電4品目、衣料品
B to B(企業間): 複写機、オフィス家具
これらの製品を扱う事業者には、リユースの健全な実施や消費者安全の確保に関する判断基準の設定が予定されており、新たな管理責任の発生が見込まれます。
「促進法」は名ばかりに — 企業に求められる新たな実務対応 -
もともと資促法は「努力義務」中心の法律でしたが、今回の改正を経てその性格は “名ばかりの促進” から、 “事実上の義務法” へと大きくシフト しています。
再生資源の使用率の数値管理
回収・再資源化のスキーム構築の責任
CEコマースにおける再使用の管理基準
これらの制度が整えば、企業に求められるのは 「やれること」ではなく「やらねばならないこと」 になります。
🔍 まとめ:リサイクルは“選択肢”から“義務”の時代へ
改正資源有効利用促進法の方向性は明確です。
企業の製品設計から回収・再資源化、再生材の使用に至るまで、すべてが管理・報告対象となっていく未来が見えてきました。
特に家電・容器包装・自動車・小型電池関連製品を扱う事業者は、法対応を待つのではなく、いまから備えることが不可欠です。
今後も審議内容を注視しながら、現場での実務に落とし込むサポートを続けてまいります。
処理業者、買取業者の見直しについても、ご支援させていただきますので、何なりとお申し付けください。
坂本裕尚

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