【2026年1月施行】廃棄物処理法改正:PRTR対象事業者が契約書で守るべき「3つの記載事項」
- 坂本裕尚
- 22 時間前
- 読了時間: 4分
1. 誰が対象か?「PRTR法」の基準による判定
今回の改正(2026年1月施行)で、契約書への記載義務が生じるのは、PRTR法(化管法)における「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当する事業場です。
以下の4つの要素をすべて満たす場合、その事業場から出る特定の廃棄物について、契約書への詳細記載が必要となります。(廃棄物処理法改正)
判定要素 | 条件および詳細 |
対象業種 | 製造業、金属表面処理業、塗装業など全24業種 |
従業員規模 | 全社で常用雇用する従業員数が21人以上であること |
物質取扱量 | 第一種指定化学物質を年間1トン以上(特定第一種は0.5トン以上)取り扱っていること |
特定施設 | 取扱量に関わらず、下水道終末処理施設等を有している場合 |
ポイント: この義務は「事業場(工場・事業所)単位」で判定されます。 本社が対象外であっても、各工場がPRTR届出の対象であれば、その拠点から排出される廃棄物すべてに記載義務が生じる可能性があります。

環境省 廃棄物情報の提供に関するガイドライン
環境省 有害廃棄物の適正処理に係る情報伝達について
環境省 有害廃棄物の情報伝達省令改正に関する FAQ
2. 契約書に何を記載すべきか(廃棄物処理法改正)
対象事業者が、基準値を超える化学物質を含む産業廃棄物を委託する場合、収集運搬・処分の両方の契約書に以下の3項目を明記しなければなりません。
対象物質が含まれている(または付着している)旨
当該物質(第一種指定化学物質)の具体的な名称
当該物質の量、または含有割合(濃度)
対象となる廃棄物の濃度基準
廃棄物中に含まれる物質の濃度が、以下の閾値(しきい値)を超える場合に記載が必要です。
第一種指定化学物質 | 含有割合が1重量%以上 |
特定第一種指定化学物質 | 含有割合が 0.1 重量%以上 |
3. 契約変更のタイミング:自動更新ならその時でOK
「すでに締結している契約書を今すぐ全て書き直さなければならないのか?」という点については、実務に配慮した経過措置が設けられています。
既存の継続契約(自動更新あり): 施行日(2026年1月1日)をまたいで継続している契約は、「次回の契約更新」のタイミングで改正内容を反映させれば問題ありません 。
新規契約: 2026年1月1日以降に新しく結ぶ契約は、当初から新基準を適用する必要があります。
有期契約(自動更新なし): 現在の契約期間が満了し、再締結する際に対応すればOKです。
ただし、自動更新のタイミングを見落とし、新基準を反映させないまま放置してしまうと「委託基準違反」となり、罰則(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金など)の対象となるリスクがあるため注意が必要です。
4. 処理委託契約書の記載文例
処理委託契約書における記載事項として、甲(排出事業者)の情報提供に関する条文の中に、下記の内容を追加されてはいかがでしょうか。
なお、本条文は「~の場合には」といった限定的な表現としているため、すべてのケースにおいて当該情報の提供を求めるものではありません。
本件に該当する廃棄物が発生した場合に限り、WDS等を活用して必要な情報提供を行う、という運用を想定しております。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(以下「PRTR法」という。)第2条第5項に規定する第1種指定化学物質等取扱事業者である場合であって、かつ、委託する産業廃棄物に同条第2項に規定する第1種指定化学物質が含まれ、又は付着している場合には、その旨並びに当該産業廃棄物に含まれ、又は付着している当該物質の名称及び量又は割合 |
まとめ:今後のステップ
今回の法改正は、排出事業者が自社の化学物質の動態を廃棄物段階まで一貫して管理することを意図しています 。今後のコンプライアンス維持のため、以下の2点をまず確認しましょう。
PRTR届出内容の再確認: 自社の事業場が「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当しているか、最新の届出状況を把握してください。
廃棄物の含有調査: 原材料のSDS(安全データシート)を活用し、1%(特定第一種は0.1%)以上の対象物質が含まれていないか、廃棄物ごとに精査してください。
正確な情報の伝達は、処理現場の事故防止だけでなく、企業のサステナビリティ(持続可能性)を担保する重要な一歩となります 。
