廃棄物処理法 法改正 施行規則の改正案(2025.03公布)
- 坂本裕尚
- 2月23日
- 読了時間: 4分
更新日:6月9日
2025年1月、環境省は廃棄物処理法改正の施行規則の一部を改正する省令案を公表しました。本改正案は、産業廃棄物の適正処理をより確実にし、処理状況の透明性を向上させることを目的としています。

I. 電子マニフェストにおける報告事項の追加
1. 改正の趣旨
産業廃棄物の処理を委託する際、排出事業者は管理票(マニフェスト)を交付し、処理終了後に処分受託者から管理票の写しを受け取ることで、適正な処理を確認します。また、電子マニフェストを利用する場合は、情報処理センターへの報告が義務付けられています。
しかし、近年の不適正処理事例を踏まえ、特に中間処理業者が行う再生利用について、排出事業者が処理状況をより詳細に把握できるようにする必要が指摘されています。現行制度では、処分終了時の報告義務はあるものの、再生利用の詳細な情報提供が求められていません。
そのため、今回の改正では、電子マニフェストにおける報告事項を追加し、排出事業者が処理プロセスをより詳細に確認できるようにします。
2. 改正の内容
(1) 処分受託者による再生に関する情報の報告(規則第8条の33、第8条の34の2関係)
処分受託者が情報処理センターに報告する際、以下の情報の報告を義務付けます。
処分を行った者の氏名または名称および許可番号
処分を行った事業場の名称および所在地
処分方法
処分方法ごとの処分量
処分後の産業廃棄物または再生された物の種類および数量
(2) 情報処理センターによる再生情報の通知(規則第8条の34の4関係)
情報処理センターが排出事業者へ通知する際、従来の通知内容に加えて、再生に関する情報も提供することとします。
(3) 情報処理センターによる都道府県知事への報告の見直し(規則第8条の36関係)
都道府県知事への報告内容から、再生に関する情報を除外します。
3. 今後のスケジュール(予定)
2025年3月下旬:公布
2027年4月1日:施行
II. 委託契約に含まれるべき事項の追加
1. 改正の趣旨
産業廃棄物の適正処理を確保するため、事業者は委託契約時に適切な情報を提供することが求められています。特に、有害物質を含む廃棄物については、安全性確保の観点から、より具体的な情報提供が必要です。
平成29年の意見具申では、廃棄物処理委託時の情報伝達強化が課題として挙げられ、有害物質の情報提供の充実が求められました。これを踏まえ、今回の改正では、第一種指定化学物質を含む産業廃棄物に関する情報提供を委託契約書に追加します。
2. 改正の内容
産業廃棄物の処理を委託する際の基準(令第6条の2)に基づき、委託契約書に含まれるべき事項として、以下の情報を追加します。
第一種指定化学物質が含まれ、または付着している場合、その旨を記載
含まれる物質の名称および量または割合
(規則第8条の4の2第6号関係)
3. 今後のスケジュール(予定)
2025年3月下旬:公布
2026年1月1日:施行
まとめ(廃棄物処理法改正)
今回の廃棄物処理法施行規則の改正案では、電子マニフェストの報告事項の追加と委託契約時の情報提供の強化が主な変更点となります。これにより、産業廃棄物の処理状況の透明性が向上し、不適正処理の防止が期待されます。今後の動向にも注目し、適切な対応を進めていきましょう。
坂本裕尚

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