海洋プラスチックのリサイクルを考える ~日本の廃プラリサイクルのリアルと未来~
- 坂本裕尚
- 9月21日
- 読了時間: 4分
環境省は、海洋汚染の要因となる「マイクロプラスチック問題」をテーマにシンポジウムを開催します。
本シンポジウムでは、専門家が海や河川に拡散する微細なプラスチックごみに関する最新研究や対策事例を紹介する予定です。
令和7年度プラスチック汚染とその対策に関するシンポジウムの開催
ちょうど私自身も、海洋プラスチックのリサイクルに関連して、日本の“廃プラ”リサイクル事情を調べていました。
そこで今回のブログでは、日本における廃プラリサイクルの現状と今後の展望について解説します。
1.世界の潮流と日本の立ち位置
まずは世界におけるプラスチックの生産量と消費量を見ていきましょう。
プラスチックはその利便性や軽さ、強度の高さから、世界的に生産・消費の双方が増加を続けています。

出展:OECD Global Plastics Outlook
特に消費量において、日本は一人当たりのプラスチック消費量で世界第3位に位置しています。
この事実を踏まえると、私たち日本人には、廃プラスチックが海洋へ流出しないよう適正に処理する意識と姿勢が求められているといえるでしょう。

出展:三井化学株式会社 プラスチックリサイクル データ集
2.日本の廃プラ処理の現状
日本国内の廃プラ処理には、大きく分けて3つのリサイクル方法があり、その比率は以下のようになっています。
サーマルリサイクル(熱回収): 64%
マテリアルリサイクル(材料リサイクル): 22%
ケミカルリサイクル(化学原料、油化へ): 3%
◦ 補足:残りの11%は、単純焼却もしくは埋め立てとなっています。
各リサイクルの特徴と課題
リサイクル方法 | 概要 | 主なメリット | 主なデメリット |
マテリアルリサイクル | 材料リサイクル 例:PETボトル to PETボトル | 資源を有効にリサイクルし、資源の安定確保につながる | 分別や異物除去の手間が非常にかかる |
ケミカルリサイクル | 化学原料や油へ戻す | エネルギー資源の節約、CO2排出量の削減 | 再資源化の設備が大規模になりがちで、コスト高 |
サーマルリサイクル | 熱回収(焼却時に熱源として回収) | 化石燃料の節約、減容化 | 焼却時にCO2を排出 |
3.世界の廃プラ処理と日本独自の課題:リサイクルの定義
では次に、世界における廃プラスチックの処理状況を見ていきましょう。
以下のグラフが示すとおり、日本のリサイクル率はわずか25%にとどまります。
ここで注意すべきは、日本で「サーマルリサイクル」と呼ばれている熱回収が、国際的には「焼却(Thermal Recovery)」に分類され、リサイクルとはみなされない点です。

出展:三井化学株式会社 プラスチックリサイクル データ集
また、上図のQ&Aでも触れたとおり、これまでEUや米国では埋立処理が中心で、焼却は少数派でした。
しかし今後は、埋立から焼却へとシフトしていく見通しです。
4.循環型経済(サーキュラーエコノミー)への政策的後押し
前項で見たように、EUのリサイクル率は依然として低水準にあります。
しかし、以下に示すサーキュラーエコノミー関連の施策が進むことで、今後は着実にリサイクル率が向上していくと考えられます。

5.日本の廃棄物関連法制度と目標
日本では、2022年に制定された「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」や、今年11月に本格施行される「再資源化事業等高度化法」といった法整備が進められています。
これらの取り組みにより、今後のリサイクル率向上が期待されます。

さらに、従来からある「資源有効利用促進法」も2026年4月に改正され、以下の3種類の製品において「再生プラスチック」の活用が促進されます。
(こちらはリサイクル率ではなく、再生プラスチックの活用率を高める取り組みです。)
この改正法では具体的な数値目標は示されない見込みですが、各業界団体などによる自主的な取り組みにより、再生プラスチックの利用拡大が進むと考えられます。

6.まとめ ~海洋プラスチックのリサイクルを考える~
これまで見てきたように、プラスチックの生産量・消費量は年々増加しています。
では、そのリサイクル方法にはどのような種類があるのでしょうか。
マテリアルリサイクル
ケミカルリサイクル
サーマルリサイクル
たとえばマテリアルリサイクルでは、次のような製品に生まれ変わります。
鉢植えなどの農業・ガーデニング用品
建材パネルなどの建築材料
プラスチックパレット
今後は、再資源化事業等高度化法の本格施行や資源有効利用促進法の改正により、再生プラスチックの活用が環境法制によってさらに後押しされていくでしょう。

このように、陸上での廃プラスチックのリサイクルや再生プラの活用が進むことで、海洋プラスチックの回収・リサイクルにもつながります。
そして最終的には、「海ごみゼロ」を目指す取り組みを一緒に推進していきましょう。
坂本裕尚



