資源有効利用促進法の改正【追加】徹底解説! サーキュラーエコノミーへの移行はどう進む?
- 坂本裕尚
- 4月19日
- 読了時間: 5分
今回の改正の最大のポイントは、これまでの「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」から、動静脈連携を基本とする「サーキュラーエコノミーへの移行」へと政策体系を大きく刷新する点にあります。
これは、資源の海外依存度を下げ、資源の安全保障の確保と産業競争力の強化を同時に実現するための国家戦略の一環です。
本記事では、2026年4月1日施行の改正内容について、具体的な変更点と事業者が押さえておくべき対応策を網羅的に解説します。
※本記事は、2026年4月10日に公開された本改正に関する経済産業省の資料をもとに解説しておりますので、これまでにご紹介しました記事と重複していること、ご了承ください。
🔷経済産業省 第13回 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会

1. 本改正(サーキュラーエコノミーへの移行)の4つの大きな柱
改正資源有効利用促進法は、2026年4月1日より施行されました。
2025年12月には施行令の一部改正が公布され、具体的な措置が動き出しております。
主な柱は以下の4つです。
再生資源の利用計画策定・定期報告 | 製造事業者等に対して、再生材の利用計画提出と報告を求めます。 |
環境配慮設計の促進 | 解体や分別がしやすい設計、長寿命化につながる設計の認定制度を創設します。 |
GX原材料の再資源化促進 | メーカーなどが自主回収や再資源化を行う際、廃棄物処理法の特例措置(業許可不要)を講じます。 |
CEコマースの促進 | 修理や賃貸(シェアリング等)を行う事業者が満たすべき基準を策定します。 |
2. プラスチックの脱炭素化に向けた新たな義務
脱炭素化を目的に、「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」として特定の分野で再生プラスチックの利用を促す省令が制定されます。
対象となる製品
プラスチック製容器包装(食品(指定PETボトル除く)や 医薬品等を除く)
自動車
家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)
事業者に求められるアクション
目標設定:再生プラスチックの利用量と利用率の向上を目指す
技術向上:使用済物品等からの再生プラスチック抽出技術や、製品への利用技術を高める必要あり
管理体制:2027年度からは毎年度9月末までの計画提出、2028年度からは定期報告が求められる
国産材への配慮:国産の再生プラスチックを利用するように配慮することが求められる
3. 環境配慮設計の認定と、自主回収対象の拡大
資源効率のアップと脱炭素化を両立させるため、設計段階と廃棄後の回収段階において新しい基準が設けられます。
環境配慮設計の認定基準 「資源有効利用・脱炭素化促進設計指針」に基づき、以下の優れた設計が認定されます。
原材料使用の合理化、耐久性の向上、修理や分解の容易化
カーボンフットプリント(CFP)の算定と公表
再資源化事業者との情報連携および事前評価の実施
リチウム蓄電池等の容易な取り外し
自主回収・再資源化の対象拡大 廃棄物処理法の特例(業許可不要)を適用し、自主回収を促進する製品に以下が追加されます。
電源装置:モバイルバッテリー
携帯電話用装置:スマートフォン等
加熱式たばこデバイス
4. CEコマース(修理・レンタル事業)の基準策定
製品を長く利用してもらうため、製造事業者だけでなく、修理や賃貸(レンタル・リース)を行う事業者に対する判断基準が追加されました。
対象サービス | 対象製品の例 | 追加される基準の要点 |
修理・加工 | 家電4品目、金属製家具、複写機 | 修理の安全性確保、品質・記録に関する消費者への情報提供 |
賃貸(レンタル等) | 家電4品目、金属製家具、複写機 | 稼働率向上のための保守・点検、保証範囲の明確化 |
※ 一般衣料品や中古品販売についても、本年度中に措置が検討される予定です。
5. 「指定再利用促進製品」に4品目が追加
リデュース・リユース・リサイクルが容易な設計を促す「指定再利用促進製品」に、新たに以下の4品目が追加される想定です。
太陽電池(太陽光パネル) 2030年代後半の大量廃棄を見据え、アルミフレームやガラスの再資源化、有害物質(鉛、カドミウム等)の情報提供を促す(年間50MW以上の太陽電池を取り扱う製造・輸入事業者が対象)
IHクッキングヒーター 制御基板や電磁コイルなど、資源価値の高い部品の回収を容易に
食洗機 分解が困難な構造を改善し、リサイクルを促進
窓(サッシ・ガラス) 樹脂やガラスの再資源化、アルミの水平リサイクルを推進
6. リサイクル目標値のアップデート
紙製造業とガラス容器製造業において、2030年度に向けた再生資源利用率の目標値が見直されます。
古紙利用率(紙製造業) 現行の「令和7年度までに65%」から「令和12年度までに67%」へ改定されます。古紙回収率がすでに80%超と限界に近い状態ですが、さらなる努力を促すのが背景です。
カレット利用率(ガラス容器製造業) 「令和12年度までに76%」と、現行目標がそのまま据え置きとなります。現状が目標未達であるため、質の高いガラスびん回収を継続して促す狙いがあります。
7. リチウムイオン電池総合対策(「3つのC」)
火災事故の頻発と、重要鉱物(リチウム、コバルト、ニッケル)の確保を背景に、総合的な対策パッケージが展開されます。国民や事業者に向けて以下の「3つのC」が呼びかけられます。
Cool choice(賢く選ぶ) 購入前にリコール情報やPSEマーク、リサイクルマークを確認する。
Careful use(丁寧に使う) 強い衝撃や高温を避け、異常を感じたら使用を中止する。
Correct disposal with better recycling(正しく捨てる・資源循環) 廃棄前に使い切り、地方公共団体やメーカーの回収ルールを遵守する。
8. 戦略的背景:日本の自律性と不可欠性の向上
世界的な資源獲得競争のなか、我が国の産業競争力を維持するための戦略的方向性が以下のように示されています。
自律性の確保 再生資源のサプライチェーンを強靭化し、二次資源(再生材)を質・量・コストの面で安定供給できる体制を作ります。また、不適正な国外流出の抑制も重点課題とされています。
不可欠性の向上 日本が強みを持つ高度な精錬技術やリサイクルノウハウを活かし、ASEAN諸国等と連携した「国際資源循環ネットワーク」のハブとなることを目指します。
💡 今後のスケジュール この方針に基づき、2026年4月中には「循環経済行動計画」が取りまとめられる予定です。



